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林卓矢医師のレビュー英語論文がEuropean Journal of Cancer(2024/2025IF:7.1)に掲載されました。

即時乳房再建後の乳房切除後放射線治療における寡分割照射と通常分割照射の比較
Eur J Cancer. 2025 Sep 9:227:115669.
DOI: 10.1016/j.ejca.2025.115669

背景:
乳房切除後に即時乳房再建を受けた患者に対する術後放射線治療(postmastectomy radiotherapy: PMRT)では、近年、寡分割照射(hypofractionation: HF)の導入が進んでいます。一方で、通常分割照射(conventional fractionation: CF)と比較した再建関連合併症の安全性については、十分なエビデンスの整理がなされていませんでした。そこで本研究では、即時乳房再建後PMRTにおけるHFとCFの合併症を、システマティックレビューおよびメタアナリシスにより比較検討しました。

方法:
2025年1月10日までに Embase、MEDLINE、Cochrane CENTRAL を用いて文献検索を行い、即時乳房再建後にPMRTを受けた患者を対象として、HF(2.4–2.7 Gy/回)とCF(1.8–2.0 Gy/回)を比較した研究を抽出しました。研究の質は RoB 2 および ROBINS-I V2 で評価し、エビデンスの確実性は GRADE で評価しました。11研究、計3,611例が解析対象となり、このうち3件はランダム化比較試験でした。

結果:
主要合併症の発生リスクは、HF群とCF群で有意差を認めませんでした。また、光子線治療を対象とした解析では、感染、創離開、血腫についても明らかな差は認められませんでした。主解析では、被膜拘縮はHF群で少ない可能性が示されましたが、感度分析ではこの差は確認されませんでした。QOLを評価した研究は1件のみで、physical well-being に差は認められませんでした。なお、GRADE評価では、主要合併症に関するエビデンスの確実性は高く、感染、創離開、血腫は中等度と評価されました。

結論:
即時乳房再建後PMRTにおいて、HFはCFと概ね同等の安全性を示しました。乳房再建を受ける患者において、 HFは再建関連合併症の観点から許容可能な治療選択肢であり、治療負担の軽減が期待されます。一方、主要合併症については比較的確実性の高い結果が得られたものの、被膜拘縮低下の可能性を含む一部の所見については、今後のさらなる検証が必要です。