大学院4年生の林卓矢医師らの英語論文がRadiological Physics and Technology(2024/2025IF:1.5)に掲載されました。
Comparison of small bowel and bladder doses between prone and supine positions in preoperative intensity-modulated radiotherapy for rectal cancer.
Hayashi Takuya, Ogita Mami, Nozawa Yuki, Minamitani Masanari, Yamashita Hideomi.
Radiol Phys Technol. 2026 Apr 20.
doi: 10.1007/s12194-026-01051-z. Online ahead of print.
PMID: 42008045
直腸癌に対する術前強度変調放射線治療における伏臥位と仰臥位の比較
背景:
局所進行直腸癌に対する術前放射線治療では、小腸や膀胱への被ばくを抑えて有害事象を軽減することが重要です。ベリーボードを用いた伏臥位(prone position: PP)は従来、小腸線量を減らす可能性があるとされてきましたが、IMRTにおいて仰臥位(supine position: SP)と比較した有用性は十分に明らかではなく、どの患者がPPの恩恵を受けやすいかを判断する指標も確立されていませんでした。そこで本研究では、直腸癌術前IMRTにおけるPPとSPの線量分布を同一患者で比較し、PPによる線量低減効果に関連する因子を検討しました。
方法:
2019年7月から2024年4月までに術前放射線治療を受けるために同日にSPとベリーボードを用いたPPの両方でCTシミュレーションを行った直腸癌患者24例を対象に、それぞれの体位でVMATでの治療計画を作成しました。処方線量は50.4 Gy/28回とし、小腸、膀胱、大腿骨頭の線量容積指標を比較しました。さらに、仙骨岬角レベルで測定した腹部突出の比(SP/PP)からなる新規指標「abdominal protrusion ratio」を用いて、PPによる小腸線量低減効果との関連を解析しました。
結果:
PPでは、標的カバレッジを損なうことなく、小腸V40GyがSPより有意に低下しました。V45Gy、V50GyもPPで低い傾向を示しましたが、有意差には至りませんでした。膀胱では、PPでV25Gy~V50Gyおよび平均線量が有意に低下し、中~高線量域の被ばく軽減が認められました。さらに、abdominal protrusion ratioが小さい症例ほど、PPによる小腸V40Gy低減効果が大きく、多変量解析でも有意な関連が示されました。
結論:
直腸癌に対する術前IMRTにおいて、ベリーボードを用いたPPはSPと比べて小腸の高線量域および膀胱の中~高線量域の被ばくを低減できる可能性が示されました。特に、abdominal protrusion ratioが低い患者では小腸への高線量照射の低減の面でPPの恩恵が大きい可能性があり、両体位でのCTシミュレーションが体位選択の個別化に役立つと考えられます。一方で、本研究は計画研究であり、今後は実際の有害事象や臨床成績との関連を検証するさらなる研究が必要です。